よくある質問(スラリーポンプ)
(Q1)ダイヤフラム関係・ダイヤフラムとは?
・ダイヤフラムポンプとは?
・ダイヤフラムポンプの特徴は?
・AOKIのダイヤフラムポンプの特徴は?
(Q2)液関係
・スラリー液とは?
・スラリー液で問題となるのは?
・スラリー液で利用できるのですか?
・スラリー液による摩耗で困っているのですが?
・高粘度液の液体は利用できるのですか?
・高温度の液体は利用できるのですか?
(Q3)機械構造関係
・ダブルダイヤフラムとはどの様な構造でしょうか?
・定期的な交換部品はあるのでしょうか?
・液の脈動は出るのでしょうか?
・逃がし弁(リリーフ弁)は必要でしょうか?
・空運転は可能でしょうか?
(Q4)様々な問題点関係
・吸入側吸い上げはどのくらい可能でしょうか?
・キャビテーションとは?
・NPSHとは?
・キャビテーション防止方法
・ウォーターハンマーとは?

ダイヤフラムとは?
diaphragm を和訳すると、横隔膜とか音を伝える振動板を意味します。
工業用でダイヤフラムとは、主に2つの物質を分け隔てる隔膜のことを言い、ゴム或いは樹脂または金属で製作されています。ダイヤフラムを利用した商品としては、ダイヤフラムポンプ、ダイヤフラム弁、ダイヤフラム式圧力計などがあります。

ダイヤフラムポンプとは?
まず、ポンプの種類を構造上から分類すると
(A)非容積式ポンプ
(A−1)遠心ポンプ(渦巻ポンプ、タービンポンプなど)
(A−2)プロペラポンプ(軸流ポンプ、斜流ポンプなど)
(A−3)粘性ポンプ(カスケードポンプなど)
(B)容積式ポンプ
(B−1)往復動ポンプ(ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなど)
(B−2)回転ポンプ(ギヤーポンプ、偏心ポンプ、ネジポンプなど)
(C)その他
に分けられます。
ダイヤフラムポンプは容積式ポンプの往復動ポンプに属します。
構造を簡単に言うと、ピストンポンプのピストンの先にダイヤフラム(隔膜)が取り付けられ、ピストンの往復動運動によりダイヤフラムが作動します。
1往復の半分が吸入工程(液をポンプ内部に吸い込む)で残りの半分が吐出工程(ポンプ内部の液を吐き出す)として動作し、それを繰り返すことで液を移送します。
ダイヤフラム(隔膜)により、”液が機械内部に進入する”或いは”機械内部の潤滑油が液に混ざり込む”のを妨げています。
本来ピストンポンプなどでは、Oリングやメカニカルリングにより侵入を防ぐ構造を採っています。
しかし、摺動部分の摩耗などにより徐々にリークが増え、構造的に長期間完全に侵入を防ぐことは出来ません。
ダイヤフラムポンプもピストンポンプと同様に吸入口、吐出口には通路を開閉するためのチャッキ弁を必要とします。このチャッキ弁は通常ボールバルブを使うことが多くなっています。

ダイヤフラムポンプの特徴は?
ダイヤフラムポンプは液通過部とポンプ駆動部がダイヤフラムにより完全に隔離されているため、液がポンプ駆動部内の潤滑油或いは外部の空気と触れることは全くありません。また、回転式ポンプなどでは、長期間使用していると内部部品が摩耗により液漏れを起こしたり、リークして能力不足となることがありますが、ダイヤフラムポンプはダイヤフラムが破損するまでは、そのようなことはありません。

AOKIのダイヤフラムポンプの特徴は?
第一の特徴は、直動型の二重ダイヤフラム構造となっていることです。
液通過部とポンプ駆動部との間に2種類のダイヤフラムを取り付けており、負荷の大きい液側ダイヤフラムが破損しても、油側ダイヤフラムがあり、それが遮断するので破損時でも液と潤滑油が触れることはありません。また、液側ダイヤフラムと油側ダイヤフラムの間から液が漏洩することで、液側ダイヤフラムの破損を検知できます。
第二の特徴は、他社製のダイヤフラムポンプよりも、チャッキ弁部の液通過面積を大きくとっています。従って、粉体の混ざったスラリー液でも、通過することが出来ます。通常ダイヤフラムポンプはチャッキ弁があるため、スラリー液には不向きとされていますが、弊社のポンプは対応可能です。
弊社ポンプの最大の特徴はむしろダイヤフラムポンプの特徴である耐摩耗性を十分に生かしたスラリーポンプと言えます。

スラリー液とは?
液体の中に固体を混ぜ合わせた物をスラリー液と言います。例えば、どろ水、インスタントスープなど。
大量の液体の中に、少量の固体を入れかき混ぜると、液体中に固体粒子が拡散するので、溶け込んだ状態になります。徐々に固体の量を増やしていくと、かき混ぜても、どろっとした液体のような固体のような状態となります。これがスラリー液です。

スラリー液で問題となるのは?
スラリー液の濃度が濃くなればなるほど、固形分が多くなるので、ポンプ内部を通過するときに、周りの金属などを削り取ってしまうのです。
特に、羽根車(インペラー)式やギヤー式のポンプだと、短時間でインペラーやギヤーが摩耗により薄くなり、隙間が大きくなって、リーク量が増えるために安定した量を送ることが出来なくなってしまうのです。

スラリー液で利用できるのですか?
チャッキ弁を持つ構造のポンプでスラリー液を使用する場合、弁部にて液詰まりが発生し問題となる場合がありますが、弊社のスラリーポンプは弁部の液通過面積が大きいので液詰まりはほとんど発生しません。弊社の場合、炭酸カルシウムスラリー濃度70wt%の実績もあります。

スラリー液による摩耗で困っているのですが?
スラリー液では摩耗性がきつい場合が多く、回転式ポンプなどでは直ぐに内部部品を摩耗してしまい問題となるケースが多くあります。
摩耗に強いのはダイヤフラムポンプです。インペラー式やギヤー式ポンプの様に、摩耗が進むにつれ隙間が増え、徐々に流量低下したり或いは昇圧不能ということがありません。
ダイヤフラムポンプの場合、少々金属部が摩耗しても、ダイヤフラムなどの消耗部品が破損するまでは、ほとんど流量低下することなくお使いいただけます。
定期的に消耗部品を交換することにより、長期間の安定稼働が可能です。

高粘度液の液体は利用できるのですか?
ご使用の液質、仕様条件及び弊社機械の型式にもよりますが、1000cp以内の液であれば送液可能です。実績上では、6000cpの場合もあります。高粘度の場合(1000cp以上)、テストポンプによる確認が必要です。

高温度の液体は利用できるのですか?
弊社の機械では、ダイヤフラムにゴム(天然ゴム、合成ゴムなど)を利用していますので、耐熱的には100℃以下に抑えることが望ましいです。実績上では最高80℃です。
100℃を越えて使用した場合は、ダイヤフラムの寿命が極端に短くなる場合があります。

ダブルダイヤフラムとはどの様な構造でしょうか?
弊社の機械でダブルダイヤフラムとは、2種類のダイヤフラムを用いていると言うことです。
ポンプを動かす駆動部には潤滑油が入っています。使用する液と潤滑油はダイヤフラムにて隔離していますが、ダイヤフラムが破損した場合には液と潤滑油が混ざることになります。
弊社の場合、液と潤滑油の間に2種類のダイヤフラムを用いる事により、片方のダイヤフラムが破損した場合でも液と潤滑油が混ざることはありません。
また、片方のダイヤフラムが破損した場合、2種類のダイヤフラムの間から液または潤滑油が漏洩しますので、破損したことがわかります。
液に近い方のダイヤフラムを液側ダイヤフラム、潤滑油に近い方のダイヤフラムを油側ダイヤフラムと称しています。

定期的な交換部品はあるのでしょうか?
通常の消耗部品は、液側ダイヤフラム、油側ダイヤフラム、ボールバルブ程度となります。
摩耗が激しい液の場合は、ポンプ内部の金属部品の交換が必要となります。

液の脈動は出るのでしょうか?
ダイヤフラムポンプは駆動部がピストン運動を行いますので、吸入行程と吐出行程があり、1回転の間に半分は吐出しないことになります。したがって、吐出される液はサインカーブ(SIN CURVE)の上半分に似たような流れ方をしますので、当然脈動は発生します。この脈動を抑えるために、エアーチャンバー(空気室)などが必要となります。
エアーチャンバーなどはポンプ出口の極力近い場所に設置します。また、内部の空気が無くなるとその役目をしないので補給が必要です。

逃がし弁(リリーフ弁)は必要でしょうか?
弊社ポンプは直動型ですので、吐出側が締め切り状態(配管内で液が固まって閉塞することも考えられます。)になると、機械が故障するまで、吐出圧力を上げようと動きます。機械保護のためには、リリーフ弁を取り付けることをおすすめします。
リリーフ弁がない場合でも、吐出側タンクに圧力スイッチをつけて限界圧力を超えればモータを止めるなどの対応策があります。

空運転は可能でしょうか?
弊社の機械では、空運転は全く問題なく可能です。
長時間、空運転を行っても機械に何の影響もありません。

吸入側吸い上げはどのくらい可能でしょうか?
水銀の中に試験管を沈め、試験管を逆向きに垂直に立てると、試験管内部の水銀は液面からほぼ76cmの所まで上がってきます。これは、大気の圧力を受けているためです。
水銀の代わりに水を用いると、水銀は比重が13.6なので、76×13.6=1033.6cm 約10mまで上がります。つまり、下から水を吸い上げる場合、完全真空にして引き上げると10m下の水を引き上げられます。しかし、実際のポンプでは完全真空状態には出来ないので、どんなに良いポンプでも6〜8m程度の吸い上げ能力となります。
弊社の機械では、型式にもよりますが、ポンプ内部に液が詰まっている状態では、清水換算で吸入側1〜2m程度の吸い上げは可能です。ポンプ内部に液がない場合は、呼び水が必要な場合があります。

キャビテーションとは?
ポンプは吸入時にはポンプ内部で真空を作り液体を吸い上げ、吐出時には吸い上げた液を押し出す(高圧にする)機械です。ポンプ内部で局部的に液体の気化する圧力まで圧力低下することがあると、その液体は気化し気泡(蒸気や含有気体を含む泡)を発生します。更に流れが低圧になるか高速になってその部分に空洞を生じます。この現象のことを"キャビテーション"と言います。

NPSHとは?
NPSHとは、有効吸い込みヘッド(Net Postive Suction Head)と呼ばれるもので、キャビテーションの判定に用いる数値です。理論的にキャビテーションが起こるかどうかは、ポンプが利用し得るAvNPSH、ポンプが必要とするReNPSHと使用する液の蒸気圧力から判定します。
キャビテーションを起こさないための条件としては、
AvNPSH−ReNPSH≧使用する液の蒸気圧力 となります。
しかし、実際には理論通りにならない場合もあり、キャビテーションが起こった場合には、事項のような防止対策が有効です。

キャビテーション防止方法
キャビテーションの発生は、ポンプの吸い込み性能に大きく左右されるため、次のような方法で対策します。
(1)吸入側タンクの最低液面を上げる。
(2)吸入側配管を太くする。
(3)吸入側配管の長さを短くする。
(4)ポンプの回転数を遅くする。
(5)吸入側にエアーチャンバー(空気室)を取り付ける。

ウォーターハンマーとは?
配管内を流れている液体が、様々な障害により急激にその運動が止められたときに起こる水撃作用のことをウォーターハンマーと言います。


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